「ネイチャーガイドってどんなことしてるの?」
「自然体験ってどんなふうにすればいいの?」
エピオネイチャーガイドオフィスで行っている日々のガイド内容を記録していきます。
本日はSAVE JAPANイベントでツキノワグマについての講義を行いました。
SAVE JAPANプロジェクトってなに?
- 「ツキノワグマと同じ時代に生きる幸せ」~人とクマの境界づくり
- 一般・親子向け
- 35人
SAVE JAPAN プロジェクトとは、NPOと地域の皆さまと、損保ジャパン日本興亜が一緒になって、全国各地で「いきものが住みやすい環境づくり」を行うプロジェクトです。
SAVE JAPAN プロジェクトとは
お客さまにWeb約款(*1)をご選択いただくことにより寄付を行い、地域の環境団体やNPO支援センター、日本NPOセンターと協働で市民参加型の屋外イベントを開催します。地域みんなで参加できるイベントを目指します。
ここ島根県では、NPO法人もりふれ倶楽部がイベントの企画を行い、今年で4年目となるプロジェクトです。
最初は、出雲西高等学校のインターアクトクラブとの協同開催でしたが、一般の方にも知ってもらい、一緒に活動していこう、ということで一般公募も行なうようになりました。
今年は事前学習会も行いました。その様子はコチラ↓
「~ネイチャーガイドのお仕事~【出前授業】ツキノワグマとの共生はできる?高校生と一緒に考えてみた」
活動の様子をローカル新聞の山陰中央新報(2019年6月18日の22ページ)にとり上げていただいています。
エリアの方はご覧ください。
クマに出会ったらどうする?絶対にやってはいけないこと
ツキノワグマについての講義は、前回同様、ツキノワグマの生態についてクイズ形式でお話しさせていただきました。
特に参加者のみなさんが驚いていたのは、100メートルを6秒台で走ること!
人類の最高記録が9秒台なので、走って逃げても絶対に敵いません・・・。
さらに、獣は逃げる動物を追いかける習性があるので、背を向けて走ることは自殺行為だと覚えておいてください。
では、クマに出会ったらどうするか?
いろいろな意見がありますが、私がこれまで経験した中では
あわてず、さわがず、ゆっくり距離をおく
ことです。
実際、2~3メートルの近距離でツキノワグマに遭遇したことがありますが、ゆっくり後退しただけで何の被害もなく、事なきを得ました。
(この件についてはまたおいおい記録したいと思います)
「まずは出会わないようにクマ鈴を携帯するなど自衛することですが、それでも出会ってしまった時に、対処法を知っているか知らないかで結果が変わってきますので、ぜひ覚えておいてください。」
と、参加者のみなさんにお伝えし、実際にツキノワグマが出没した山に行ってみました。
耕作放棄地がツキノワグマを招いた!?
山林がきちんと管理されていれば、草刈りや藪払いなどを定期的に行うので、人と獣との緩衝帯となるエリアが自然と形成されてきました。
ところが、近年は山間地は耕作放棄地や空き家が増え、草ぼうぼう、藪だらけとなり、人里と奥山の境界がない状態。
そんな見通しの悪い場所に奥山の獣たち、イノシシやツキノワグマがやってきて、意図せず、人が住む居住区にひょっこり出てしまうのです。
特に、親離れしたばかりの若グマは知識や経験も乏しく、夏の間は新しいすみかを探してうろうろしている時期なので、このころ、ちょうどクマの目撃件数が増えてきます。
人が住むエリアに頻繁に出没するツキノワグマは、駆除の対象となってしまいます。
島根県ではツキノワグマは絶滅危惧I類に指定されている保護獣であり、その数は西中国地方の個体群(島根、広島、山口)で約870頭とされています。
2009年~2010年調査、島根県中山間地域研究センター
生息数が少なく、絶滅の危機に瀕している西中国山地のツキノワグマですが、昨年(2018年)は約145頭が捕獲され、人に危害を加える恐れがあると判断された個体は殺処分されました。
正確な数字は今のところ公表されておりませんが、例年、捕獲個体の約11%が駆除されます。
そんな不幸なツキノワグマを増やさないためにできることの一つが、山林の適正な管理です。
今回は雨のため作業は行いませんでしたが、このイベントに向けて草刈りや藪はらいをしており、そのエリアが人とツキノワグマとの境界線となりました。
自分にもできる保護活動
まずは、クマのことを知ってください。
”クマ”は怖い動物ですか?
”クマ”は危険な動物ですか?
”クマ”は人を襲う動物ですか?
”クマ”は肉食だと思ってませんか?
実際、出会ったことはありますか?
クマがどんな場所に棲み、どんなものを食べ、どのような生活をしているか、
狭い国土でありながらクマのような大型動物と共生できてきたのはなぜなのか、
この記事を読んで、少しでも興味を持たれたなら、調べてみてください。
そして、今回のようなイベントに積極的に参加してみてください。
新しい知見や経験が得られます。
なにより、参加者が増えることでこうした事業が継続されていきます。
「参加はむずかしい」という方は、
こうしたプロジェクトを実施している企業の商品を購入することで、保護活動に貢献することにつながります。
このSAVE JAPANプロジェクトの場合、「損保ジャパン日本興亜損保」の自動車保険をweb契約することで寄付されます。
現地に行かなくてもできる保護活動の一つです。
こうした企業が増えて、消費者の一人として選ぶことができるといいですね。