今回はガイドをしたわけではなく、参加者としてアカマツの植林を行いました。
大田市の山林で、松枯れの被害に遭った一部の区画にアカマツの苗木を植えるのですが・・・
あれ?なんか今までのやり方と違うぞ・・・?
そ、そんなことやるんですか!?
という、新たな知見を得ましたので備忘録として記録しておきます。
植林の意義
そもそもなんでわざわざ植林するの?
自然のままにしておいた方がいいんじゃないの?
という意見もあるかと思いますが、植林には林業だけでなく森林環境の保全のために、さまざまな意義と役割があるのです。
・・・が、長くなるのでその話はまたの機会にまとめたいと思います。
今回の植林方法
1. 植林する区画の木を伐採する
→昨年の秋に実施済み
2. 苗木を植える周辺の表土をはがす
3. 苗木を植える穴を掘る
4. 穴の底にファイバー(繊維)を入れる
5. 苗木を入れ、根の周りをファイバーで囲んでから土をかける
表土ではなく、腐植の少ないB層の土をかけます
6. さらに表面をファイバーで囲み、その上にさらに土をかける
7. 踏んで固め、水をかける
植える前のひと手間が、その後の育成と管理に役立つ
さて、この過程で「えっ!?」となったのが
2. 苗木を植える周辺の表土をはがす
のところです。
表土とそのすぐ下の土壌は落ち葉などが積もってふかふかの、栄養たっぷりの土なのです。
それをわざわざはがすという行為こそ、これまで聞いたこともないやり方です。
なぜ、そうしたかというと
●表土のpHは3.5と酸性値が高い
→酸性が強いとアカマツの成長に欠かせない菌根菌が弱る
逆に中の褐色の土はpH4.5で菌根菌の発育に良い数値である
●表土の栄養分が高いと他の植物が発芽する
→草刈りやツタ伐りの手間が増える
などの理由から、植える前のひと手間を行うのです。
また、根本と表面にファイバーを入れたのは、保水と排水のためです。
マツは水分が多いとうまく育たないので、水分がたまりやすい土壌はよくありません。
繊維質で囲むことで排水を促しつつ、必要な水分は保ってくれます。
ラン類を栽培するときに使う、ミズゴケと同じ役割ですね。
結果は2か月後
常識破りのこの植林方法、はたして本当にうまく育つのか・・・?
木の成長は長い目でみなければいけませんが、苗木がしっかり根付いて成長し始めるのは2か月後。
どのような状態になっているかを楽しみに、待ちたいと思います。
今回の植林で指導してくださった講師は、世界各国で緑化事業などを手掛けていらっしゃる
国土防災技術株式会社の田中賢治さんです。