見分けてみよう!コハクチョウとオオハクチョウ

冬鳥として日本にやってくるハクチョウ。

一言で「ハクチョウ」と言っても、日本ではコブハクチョウ、オオハクチョウ、コハクチョウ、アメリカコハクチョウ、ナキハクチョウなどが見られます。

そのうち代表的なのはコハクチョウとオオハクチョウの2種。

ハクチョウを見かけたら、「どっちかな?」と注意を向けてみて、見分けられるかチャレンジしてみましょう。

コハクチョウとオオハクチョウの見分け方その①大きさで見分ける

図鑑には
コハクチョウ・・・全長120cm
オオハクチョウ・・・全長140cm
とありますが、
(鳥の全長は仰向けにした状態で嘴の先から尾の先までの長さ)

コハクチョウとオオハクチョウ 2020/1/1 安来市能義平野

さあ、どうでしょう?

わかりませんね!

野外で野生動物を見るとき、数字で表す大きさはあまり役にたちません。

「オオハクチョウの方が20cmぐらい大きいんだな。」

とわかっていても、野外で見てもその差はほとんど感じられず、
「ん~・・・ちょっと大きいかな・・・?」
くらいの感覚です。

しかも、個体差や遠近感でその大きさの感覚は変わってきますので、コハクチョウとオオハクチョウを大きさだけで見分けるのはやめておきましょう。

ちなみに上の写真は、手前の2羽がコハクチョウで、奥の2羽がオオハクチョウです。

コハクチョウとオオハクチョウの見分け方その②色で見分ける

ハクチョウといえば白色です。

ところが、オオハクチョウは、私が今まで見たものは顔から首にかけて薄い茶色のものが多かったです。

やや茶色のオオハクチョウ(写真中央) 2019/1/3 安来市能義平野

図鑑によっても「顔からくびが黄褐色にそまっている個体が多い」とあります。
コハクチョウにも同様の特徴があるようですが、茶色っぽいコハクチョウは(私は)見たことがないので、ややオオハクチョウの特徴にあてはまるのかな、と思います。

ただ、ハクチョウは頭部を泥につっこんで食べ物をさがすことも多く、そうなると顔は泥汚れで茶色いんだか黒いんだかよくわからない個体もよく見ます。
そんなわけで、この見分け方も参考程度の見分け方になります。

コハクチョウとオオハクチョウの見分け方その③首の長さで見分ける

コハクチョウ(手前2羽)とオオハクチョウ(後方茶色2羽) 2019/1/3 安来市能義平野

この写真は見分け方①の大きさと、見分け方②の色の違いがよくわかりますね。

さらに、首の長さにも注目!

オオハクチョウの方が長いということが分かりますか?

首の長さもコハクチョウとオオハクチョウの見分けポイントの一つです。
ただ、この見分け方も2種が同じ姿勢で並んでいればわかりますが、
一頭だけでいるときは比較になるものがないので、見慣れていないとわかりにくいかと思います。

コハクチョウとオオハクチョウの見分け方その④くちばしの色で見分ける

これが決定的な見分けポイントです。

くちばしの黄色い部分が大きく、くちばし先端側が鋭角になっているのがオオハクチョウ。

くちばしの黄色い部分がくちばし先端側でっこくなっているのがコハクチョウ。
コハクチョウのくちばしの黄色模様は個体差が大きいですが、オオハクチョウのようにくちばしの半分以上が黄色になることはありません。

遠すぎたり、体の向きによってくちばし部分が見えなかったりする場合もありますが、これがコハクチョウかオオハクチョウかの決定箇所になりますので確認できるまでしっかり観察しましょう。

まとめ

コハクチョウとオオハクチョウの見分け方は

①からだの大きさ
②顔から首にかけての色
③首の長さ

を総合的に見て判断し

④くちばしの黄色の部分

で確定します。


オオハクチョウは東北地方で越冬することが多く、西日本ではあまり見かけません。

参考:島根県ガンカモ類生息調査

それでもほぼ毎年来てはいるはずなので、
「いるかもしれない!」
と思いながらコハクチョウの群れの中をさがせば、出会う確率があがりますよ。

ちなみに私は2年連続で安来市の能義平野で出会うことができました。

これから北帰行までの約2か月、ハクチョウを見かけることがあればチェックしてみてくださいね!

参考文献

  • グリーンパークでBird Watching 2/財団法人ホシザキグリーン財団/2012
  • フィールドガイド日本の野鳥増補改訂版/高野伸二/2008
  • 日本で見られる287種判別のポイント 野鳥/真木広造/2001
  • 第51回愛鳥週間「全国野鳥保護のつどい」記念誌しまねの鳥/島根県農林水産部森林整備課/1997